今夜も満月

神宮寺レン担、シャイニング事務所に生かされてる。根っこにJ事務所。時々H!P。

ジャニーズアイドルと比較してみる、ST☆RISH一十木音也はなぜセンターなのか

(1)『うたの☆プリンスさまっ♪』とは

2010年にゲーム第一作をリリース以来、CDにアニメにとメディアミックス展開を広げる女性向けコンテンツです。アイドルを目指す男の子達を中心とした個性豊かなキャラクターが繰り広げる物語をElementsGardenが手がける魅力的な音楽と共にお届けします。  (うたの☆プリンスさまっ♪公式サイト作品概要より引用)

 

とあるように、アイドル候補生の青少年たちと、デビューを目指しつつも彼らと恋愛する作品であり、いわゆる″乙女ゲーム″というものである。しかし、魅力的な楽曲とそれを生かすアニメ展開に後押しされ、乙女ゲームの枠にとどまらない人気を博した作品である。

原作ゲームとアニメでは、設定や展開が大きく異なる。そのうちの1つとして、原作ゲームでアイドル候補生たち6人はそれぞれソロデビューを果たすが、アニメでは6人がグループを組んでST☆RISH(スターリッシュ)という名前でデビューをするストーリー構成になっている。2016年7月現在ではアニメ3期『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレボリューションズ』までが放映しており、2016年秋には4期『~マジLOVEレジェンドスター』の放映を控えている。1期ではアイドル候補生のメンバーたちがデビューを勝ち取るまで、2期以降はグループとしてデビューした彼らの成長を描いていく。2期にはメンバーが1人加入し、以後7人グループとして奮闘していく。

本論で取り上げる一十木音也(いっとき おとや)は、ゲームでもアニメでも、6人ないし7人の中でメインキャラクターのポジションにある。

 

天真爛漫、明るく元気で前向きな熱血少年。自分の心に正直で、思ったこと素直に行動に移すタイプ。技術的には荒削りだが、情感溢れるストレートなボーカルがスタイルが特徴。(うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000% 公式サイト キャラクター紹介ページより引用)

 

原作ゲーム・アニメの1作目では15歳、身長175センチ体重60キロ。ST☆RISHの中では来栖 翔(くるす しょう)と共に最年少で、身長もメンバーの中では来栖に次いで2番目に低いが、体を鍛えているため、小柄な印象はあまり持たれない。赤い短髪にくりっとした赤い瞳が特徴。スポーツ好きを生かして、デビュー後はスポーツバラエティにも出演している。イメージカラーは赤。メインキャラクターというのもあり、グループ内ではセンターを務める。魅力的なキャラクター他にもいる中で、なぜ一十木音也はセンターポジションなのかを考える。本論では、グループの立ち位置についてみていくため、アニメシリーズの設定に準じて論じていく。

(2)比較対象としてあげるジャニーズ

ジャニーズとは、ジャニー喜多川が社長を務める芸能事務所「ジャニーズ事務所」に所属している日本の男性アイドルの名称。多くはCDデビューを果たしたアイドルをジャニーズと呼び、CDデビューを果たしていないバックダンサーなどの下積みをしているアイドルはジャニーズJr.と呼ぶ。ここでは、デビューをしているアイドルの中から「Hey! Say! JUMP」「Sexy Zone」「ジャニーズWEST」を比較対象にあげる。

この3組を比較対象とした理由は、グループの人数がHey! Say! JUMPは9人、Sexy Zoneは5人、ジャニーズWESTは7人と3組とも奇数で構成されており、且つメンバーにイメージカラーが割り振られているため、明確なセンターポジションを担うメンバーがいると考えられるためである。そして3組はHey! Say! JUMPが2007年にデビューし9年目、Sexy Zoneが2011年にデビューし5年目、ジャニーズWESTが2014年にデビューし2年目である。ST☆RISHはアニメの時間軸が繋がっているため、2015年4月から放映された3期(最新話)の時点でおそらくデビュー3年目だと考えられる。ST☆RISHよりもキャリアが長いグループと、短いグループのどちらをも置くためである。4組のメンバー平均年齢は、Hey! Say! JUMP24歳、Sexy Zone19歳、ジャニーズWEST24歳、ST☆RISH19歳となっている。キャリアに差があるも、同世代のメンバーで構成されている3グループが、どういったセンターを有しているのか、そこから一十木音也はどういったセンターなのかを見ていく。

(3)各グループの構成とセンター

各グループのメンバー構成とセンターをみていく。

まずはHey! Say! JUMP。2007年CDデビュー。デビュー時平均年齢15歳。10人組でデビューするも、2011年メンバーの1人が未成年喫煙のため脱退。以後9人で活動する。10人のときに明確なメンバーカラーは存在していない。2014年頃メンバーカラーが決定し、センターカラー赤は山田涼介が担っている。センターを務めている自覚もあり、今では他メンバーからも認められている。Jr時代には同じメンバーの中島裕翔(水色)が当時人気Jrでセンターを務めることが多かったため、中島裕翔が赤、山田涼介が青の衣装を着ることも多かったという。しかし、デビュー後2作目のシングル曲『Dreams come true』プロモーションビデオ撮影時に、突然振り付け師からセンターの中島裕翔と山田涼介の位置を交換させられ、2作目以降もセンターポジションを山田涼介が務めることになる。中島裕翔は山田涼介よりも半年早く入所しており、入所後すぐに連続ドラマ出演をはじめ多くの仕事を与えられ人気もあったため、Jrでの雑誌撮影の際など、自分の立ち位置はセンターだと自負していた。しかし、デビュー目前になり山田涼介が出演ドラマをヒットさせ、人気が高まる。その勢いのまま2人は同じグループでデビューしたため、客観的に見たときに山田涼介がセンターポジションを担うことになんの違和感も無かったのだと考える。山田涼介はその後もコンスタントにドラマなどに出演し、メンバーの中では圧倒的に仕事量が多いと言える。山田涼介は身長162cmでメンバーの中で2番目に低い。中島裕翔は身長178cm、メンバーの中では1番高い。2人とも1993年生まれで同じく93年生まれのメンバー知念侑李を含め最年少である。山田涼介は丸顔で女性的な童顔で可愛らしい顔立ちをしているため、高校生役も多くこなすが、中島裕翔は面長で爽やかな青年の顔立ちをしているため、若手社員の役を務めることもある。山田涼介は、負けず嫌いでグループの中では比較的ツッコミのポジションにいる。

 

次にSexy Zone。2011年CDデビュー。デビュー時平均年齢14歳。5人組でデビューするも、2014年から2015年の間、事務所の意向でメンバーが3人と2人に別れ活動をすることになり、シングル曲をはじめ扱いに多くの格差があったが、2015年に5人体制での活動が再開された。センターポジションを務めるのは、3人のときも5人のときも佐藤勝利。メンバーカラーは赤。メンバーの変動やカラーが確定していない段階でも、佐藤勝利は赤以外のカラーになることは無かった。2010年に入所し、1年でデビューを掴む。ファンの間ではジャニー喜多川のスペオキ*1だと言われている。当時人気Jrだった中島健人菊池風磨を年長組で、入所したその年にメンバーに選ばれた松島聡マリウス葉、それに佐藤勝利を入れた3人が年少組で、デビュー衣装もラインの色が違った。キャリアも年齢差も年長組と年少組にはあった。5人で写真を撮るとき、年長組はJr時代からシンメ*2で活動して人気があったこと、身長が伸びていない年少組よりも頭ひとつ大きかったことの2つがおそらく考慮され、2人はそのままシンメに配置されることがほとんどだった。松島聡マリウス葉も年齢と身長が共に下から1.2だったため、シンメに配置されることがほとんどだった。身長、年齢、キャリアの三つが5人の中で中間の佐藤勝利はシンメのいないセンターに配置された。またそれだけでは無く、佐藤勝利のセンターの所以はその顔立ちが整っていることだと言える。小さな顔はベース型の輪郭で、大きな瞳に凛々しい眉毛の童顔が特徴。数々タレントを見てきたであろうジャニー喜多川に「youは特別かっこいいよ」と言われた経歴を持つ。メンバーからも佐藤勝利の顔が整っている旨のコメントが多々見られる。本人もあまり否定はしない。グループの中ではツッコミになることがほとんどで、ボケるのは苦手。車やバイクが好きで、自身の容姿にあまり頓着していない模様。下積みが短かったのもあり、歌も演技もまだまだ発展途上のため個人での仕事はあまり多くない。

 

最後に、ジャニーズWEST。2014年CDデビュー。デビュー時平均年齢21歳。関西ジャニーズJrからは、関ジャニ∞以来10年振りのデビュー。現在は7人のグループだが、デビュー発表時は4人だった。元々関西Jrの中でも別々のユニットとして活動していた面々が集められ、グループ結成時は7人でと通達された。しかし、デビュー発表当日の直前になり突然4人でデビューすることが伝えられ、東京の会場には4人しか(ほとんど騙される形で)連れてこられていなかったため、メンバーたちも困惑しながらも発表する他無かった。その後CD発売日(デビュー日)までの間にどうにか7人でデビュー出来ないかと面々が懇願を重ねた結果、7人で舞台をやることが決まり、舞台公開初日に改めて7人でデビューする旨が外部に伝えられた。センターポジションを務めるのはメンバーカラー赤の重岡大毅。4人でのデビューに選ばれていたメンバーであり、7人でのデビューを一番諦めなかったメンバーである。身長175cmで平均身長が高いジャニーズWESTの中でも真ん中にあたる。年齢も真ん中であるが、Jr時代は歳下3人とユニットを組んでいたためか、重岡大毅も年下組に分けられることが多く見られる。ベース型の輪郭にくりっとした瞳、ニッと笑うと多く見られる前歯が特徴。親しみやすいくしゃくしゃの笑顔が良く見られる。イタズラっ子でメンバーによくイタズラをしている。努力を人に見せるのが苦手で、おちゃらけているが、かっこつけたがり。

 

(4)3組のセンターから見るセンターの条件

3組のセンターを務めるメンバーの共通点をみていく。

1.メンバーカラーが赤

2.高身長ではない

3.顔が面長ではない

4.年長ではない

この4つが挙げられる。では何故、この4つがセンターの共通点に挙げられるのか。

 

1.メンバーカラーが赤

赤はセンターポジションの色だというイメージが多くの人にあるだろう。それは、戦隊モノの特撮ヒーロー主役が赤だったことが大きいのではないか。「赤だからセンターである」というのは他のグループを見ると一概に言えないが、多くは「センターだから赤」という認識が根付いている。一十木音也もメンバーカラーは赤であり、この条件は満たしている。

 

2.高身長ではない

グループのメンバーと比較したとき、3組の3者は全員高身長では無い。これはセンターに立ったときの周りとの兼ね合いが重視されていると考えられる。アイドルグループとして活動している以上、他のメンバーと自分のポジションはとても重視される。ジャニーズグループはメンバーの帰属意識が強く、多くのアイドルが「自分のソロ活動がグループに還元されること、グループの知名度に貢献されること」を望む発言をしている。グループでの見られ方を考えたときに、センター収まる人間は華がありながらも、高身長で目立ってはいけない。Hey! Say! JUMPでは中島裕翔がセンターポジションではなくなったと前述したが、これも中島裕翔がセンターだったJr時代は成長期前で特別高身長では無かったが、デビュー後10人の中で高身長になっていったことも、センターを離れた一つの要因であると言えるだろう。ジャニーズWESTにも、藤井流星という整った顔立ち(メンバーからもイケメンだと多く言われている)の彼はセンターにはならない。理由の一つとしてジャニーズには珍しい180cm越えでグループ内で2番目に背が高いからであると考える。しかし、同じく180cmを越えているメンバー小瀧望とシンメのポジションにあり、2人セットで「ツインタワー」と呼ばれ人気を誇る。センターに高身長を置くよりも、サイドに置いた方がバランスが良いと考えられる。

ジャニーズアイドルは平均的に身長があまり高くないが、これは女性の隣に立つことがメイン活動では無いからではないだろうか。女性の隣に立つとき、男性の身長が女性より高い方が見栄えがする。しかし、ジャニーズアイドルは女性の投影である。小倉千加子氏は

 

『女子のようであって、女子ではない。男子であって、男子のようではない』

『女の子が常に悩む性や性別の境界線を越境できるシンボルとなり、鏡に映った理想の自分である』

(小倉千加子『オンナらしさ入門(笑)』86~88ページ)

 

とジャニーズを語るように、彼らを異性と認識しながらもユニセックスなイメージを持っている。また、陳怡禎氏はジャニーズアイドルはファンの褒め言葉でしばしば「かわいい」という表現が用いられることを指摘している。高身長よりかは低身長の方がどちらかというと投影しやすく、また、「かわいい」に繋がりやすい「近さ」や「親密さ」が必要とも言え

 

『「身近さ」や「親密さ」もまた「かわいい」と表現されるのだ。』

(陳怡禎『台湾ジャニーズファン研究』124ページ)

 

とあるが、逆説的に考えると、「かわいい」と言われる条件として「低身長」は「身近さ」に繋がり、「かわいさ」に繋がる。そのため、ジャニーズアイドルは低身長が多いと考える。センターポジションが威圧感を出してしまっては、人気の鍵となる「かわいい」グループとは言いづらくなってしまう。そのため、センターポジションは高身長では無く低身長の方が向いているのだ。一十木音也は180cmを越えるメンバーが7人中3人いるST☆RISHの中では175cmとどちらかといえば低い方に分けられるため、この条件を満たしているといえる。

 

3.顔が面長ではない

この条件は2とも重なるが、「かわいらしさ」を強調するものである。面長よりも丸顔の方が丸みを帯びているため女性的である。アイドルグループなので、顔の整っているメンバーばかりだが、中でも女性的な可愛らしさを持っている顔立ちが向いているといえる。中島裕翔や藤井流星は整った顔立ちだが、面長で男性的であると言える。Sexy Zoneも低身長であったマリウス葉は可愛らしい顔立ちだったが面長であり、深い彫りで外国の血を感じさせるため親しみやすさとは縁遠かったと言える。一十木音也は面長では無く、目も大きくグループ内では比較的少年らしい親しみやすさと可愛さを持った顔立ちだと言えるので、この条件を満たしている。

 

4.年長ではない

若くしてデビューすることが多いジャニーズグループにおいて、年長者や芸歴が長い者がリーダー的ポジションを務めることがほとんどである。Hey! Say! JUMPは薮宏太が年長者であり芸歴も1番長いため、リーダー的ポジションを務める。Sexy Zoneの年長者中島健人Sexy Zoneの中でも仕事量も人気も多いが、センターでは無い。身長を考慮したバランスもあるが、年長者であり芸歴が長いことも一因だろう。デビュー時、キャリアも年齢も足りない年少組3人を、中島健人はシンメの菊池風磨と共に支えることが要求され、センターを務めるよりも、菊池風磨とのシンメでバランスをとる必要があった。一十木音也は年長者ではないため、この条件を満たしている。

3組から見るセンターの条件を一十木音也はすべて満たしている。なので、一十木音也はST☆RISHのセンターが相応しいと考える。

また他のメンバーでセンターポジションに近いのは、一十木音也のシンメで6人のST☆RISHでは一十木音也とWセンターと言われていた一ノ瀬トキヤ(メンバーカラーは紫)。または、途中加入でシンメのいない愛島セシル(メンバーカラー緑)が挙げられる。しかし、子役をしており芸歴が長くクールなキャラクター、可愛らしいよりも麗しい顔立ちの一ノ瀬トキヤ。異国の地アグナパレスと日本のハーフで、褐色肌に国のタトゥーが入っていて、アグナパレス国の第一王子の肩書きを持つ愛島セシルは、両者共に「親しみやすさ」が一十木音也よりも圧倒的に少ないと言えるだろう。また、身長・顔立ち・年齢から鑑みる「親しみやすさ」をクリアしている来栖翔(メンバーカラーピンク)も候補に入れると、Hey! Say! JUMPの知念侑李が同じ条件に当てはまる。来栖翔と知念侑李は共にグループ内でメンバーカラーピンク、最低身長、最年少、面長ではない、というセンターに近い条件だが、センターではない。それはセンターという肩書きが必要無いほどポジションが確立しているからではないかと考える。来栖翔のポジションは小さく(身長161cm)可愛らしい見た目だがメンバー随一の男気溢れるツッコミキャラクター。知念侑李は小さい(身長159cm)見た目だが、可愛らしさを自覚しワガママを言いつつも毒舌キャラクター。センターポジションは、他と比べてキャラクター面(本来の性格をデフォルメし表現する面)において、センターポジションである、ということ以外あまり特記事項がない方が、バランスが良いのだろうと考える。そのため、ダンスのフォーメーションでバランスを見て圧倒的低身長の来栖翔と知念侑李がセンターポジションにいることは多いが、グループの顔としてのセンターポジションでは無い。

以上をふまえて、一十木音也はST☆RISHのセンターポジションであるといえる。

 

参考文献

小倉千加子『オンナらしさ入門(笑)』2007年3月

陳怡禎『台湾ジャニーズファン研究』2014年2月

香月孝史『「アイドル」の読み方混乱する「語り」を問う』2014年3月

『Myojo』10000字ロング・インタビュー「裸の時代~僕がJr.だったころ~」取材・文/水野光博   2014年4月号、2014年8月号、2014年10月号、2014年11月号、2014年12月号、2015年1月号、2015年2月号、2015年3月号、2015年4月号

*1:スペシャルお気に入りのタレント、を指すファン用語

*2:シンメトリーの略。シンメトリーのポジションで活動する2人のことを指し、ジャニーズの中ではセットで仕事をすることも多く、本人やファンの間でも特別になることが多い。相棒やライバルの位置づけになる。